2023年

11月

28日

ティル・フェルナー ピアノリサイタル

日曜日に静岡音楽館AOIで開催されたティル・フェルナー ピアノ・リサイタルに行ってきました。

このピアニストについて私は全く予備知識がなく、そんなに期待していたわけではないのですが、本当に行ってよかったです。

1972年ウィーン生まれということで、プログラムはすべてウィーンにゆかりのある作曲家がウィーンで作曲した作品。

全体にバランスのとれた正統派の、とてもよい演奏でした。

勢いのある若手のピアニストのチャレンジングな演奏もワクワクしますが、こういう実力もあり円熟したピアニストの演奏も、じっくりと音楽に浸り身を委ねることができて、極上の時間を過ごすことができました。

シューベルトの即興曲の間にシェーンベルクを挟むというのは珍しい構成ですが、違和感なく、シェーンベルクからシューベルトに戻ったときは懐かしい温かい場所に戻ったような不思議な感覚でした。

日本でそれほど知られていないためか、空席も結構あって、もったいないなと思いました。

最後は割れるような拍手が鳴りやまず、アンコールはバッハのフランス組曲第5番のサラバンドと、これも渋い選曲ですが、とても美しく優雅で、堪能しました。

 

と、ここまでは最高だったんですが、実はちょっともやもやしたこともありました。

私の席は2階のステージが見やすい、いい席だったんですが、隣の若い女性の香水の匂いがかなり強く、初めはがまんしていたんですが、だんだん気分が悪くなってきました。休憩時間に一旦ドアの外に出て、ドアのところにいた女性の係員に訳を話して「空いている席に移ってもいいですか」と聞いたところ、「そうですね。もうこれから来る人もいないでしょうし」というお返事で、とりあえずドアの近くのバルコニー席の端っこに座り、休憩が終わるころ空いている席を見定めてからよさそうな席に移るつもりでした。

そこへ男性の係員がやって来て、「全席指定なのでチケットを交換します」と持ってこられたのが仮のつもりで座っていた席のチケット。「もう少し上のほうの席に移るつもりだったんですが」と言ってみましたが、「ああ…」と言ったきり対応してくれる様子がないので、仕方なく「じゃ、いいです」と言ってしまいました。

そこはステージを横向きに見るような位置だったので、終わるころには首が痛くなるし、空いている席はたくさんあったのにと、ちょっともやもや。香水の女性にもちょっともやもや。

 

ここは9月に開催したうちの発表会でも利用したホールで、そのときは開演時間が迫ってもプログラムの最初のほうの子があらわれず、やきもきしたんですが、後で聞いたところによると係員に「時間まで8階のホールには行けません」と、7階で足止めされていたそう。見れば出演者とすぐわかるドレスを着ていたのですが。写真屋さんも足止めされたと言っていました。

ここは音響もよく、ステージのほうの係員の方たちも行き届いていて、大好きなホールなんですが、客席のほうの担当の方たちがちょっと杓子定規というか、融通がきかないというか。

このコンサート自体は素晴らしかっただけに、ちょっと残念な気持ちが残りました。

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