ブーニンさん特別番組

21日(金)に、NHKで「それでも私はピアノを弾く」という特別番組が放映されました。

1985年のショパン・コンクールで19歳で第1位となり、センセーションを巻き起こしたピアニスト、スタニスラフ・ブーニンさんの復帰へのドキュメンタリーです。

 

音楽業界も次々と若手の才能あるピアニストが出てくるし、ベテランから中堅まで錚々たる実力あるピアニストがいるのですが、ブーニンさんのコンサートの情報はしばらく聞かないなと思っていました。

 

番組を見て驚きました。

2013年、石灰沈着性腱板炎という病気を発症し左手が麻痺してしまったのだそうです。手を上下させる運動の多い人に多い病気だそうで、一種の職業病でしょうか。

また遺伝性の1型糖尿病を患っていたため、自宅での事故で足を骨折した後、骨が壊死し始め、医師から片足切断を勧められたのだそうです。しかし、それではピアノのペダルが踏めなくなると、ドイツの名医を頼って壊死した部分を切り取ってまたつなぐという大変な手術を受けていたそうです。

手術は5回にも及び、足が短くなってしまった分を厚底の靴でカバーし、その後の大変なリハビリを経て歩けるようになったそうです。

 

奥様の榮子さんの献身的な支えや励ましもあって、今年6月に復帰されました。

八ヶ岳の小さな会場でスタートし、その後、東京の大きなホールでもリサイタルを開催されたんですね。

 

ショパン・コンクールのときのブーニンさんは圧倒的なテクニックとエネルギーで世界を驚かせましたが、この復帰コンサートでは、ご自身が9歳のとき初めてコンサートで弾いたというシューマンの「色とりどりの作品」を弾かれていました。派手な曲ではなく、抒情的なしみじみと美しい作品です。

さまざまな苦難を乗り越え、左手や足の不自由さと共存しながらの演奏は胸に染み入るものがありました。

 

11月6日には公演の完全版も放映されるそうなので、必ず視聴、録画もするつもりです。