浜松国際ピアノコンクール追記その2

浜コンについて、先日、「牛田さんが1位でもよかった気がする」と書いたのですが、審査委員長から「本選の演奏だけでなく、アンサンブル等も含めて審査した」という言葉があったそうなので、まだ聴いてなかった1位のチャクムルさんの3次での演奏を聴いてみました。

 

彼が1位だったのが理解できた気がしました。

モーツァルトのピアノ四重奏での彼のピアノの音が、とても優しくて温かい「人の声」のように聴こえたんですね。

ほかの楽器と対話する喜びに満ちているような。

こんな音で対話している人はほかにいなかったので、審査員は恐らくここを評価したんじゃないかと思いました。

 

アンサンブルの経験の量とか、育った音楽的土壌とか、いろいろあると思いますけど、テクニックが優れていたり、作品を理解していたりだけではできないものがあると思います。

 

そして、「蜜蜂と遠雷」も読了。

音楽を言葉で表現するなんて、と最初は否定的な気持ちもありましたが、とても読み応えがあり、長い小説なのに、すっかり引き込まれてしまいました。

さすが直木賞作家の筆力ってすごいですね。

1つずつの曲についても、とてもよく勉強されていて、構想から5年かかったというのは頷けます。

読み物として面白くということはありますから、天才少年、風間塵の設定など、荒唐無稽と言えなくもないですが、とても魅力的なキャラクターでした。

 

映画化も決定しているそうで、来年の秋公開予定ということです。

さあ、映画ではどうやって一人一人の登場人物の音楽を表現するのでしょう。

映画が公開されると、また浜松国際ピアノコンクールに注目が集まりそうですね。