聴覚の寓意

23日は、サントリーホールでマレイ・ペライアのリサイタルを聴いてから長男宅に行く予定だったのですが、ペライアのリサイタルが中止になってしまったので、上野の都美術館のブリューゲル展に行ってきました。

折しも上野恩賜公園は桜が満開を迎え、大勢の人で賑わっていました。

駅前では「本日のパンダ見学の整理券は終了しました」という札を持って立っている人も。

ソメイヨシノって、単純なピンク色じゃなくて薄墨色がかっていて、黒い幹や枝とのコントラストもいいんですね。

どこか妖艶な風情を漂わせています。

外国の方も多かったですね。

この後ろ姿の着物のお嬢さんたちは、中国語でおしゃべりしていました。

着物を着て桜と一緒に写真を撮りたかったんでしょうね。

私はブリューゲルについてはあまり知らなくて、右側のパンフレットのような花の絵のイメージで、一個人の画家だと思っていたのですが、実はブリューゲル一族というのがあって、複数の画家を輩出していたんですね。

 

ピーテル・ブリューゲル(父)は農民を描いた画家、その子のピーテルも農民を描き続けて非常に貧しかったので「地獄のブリューゲル」と呼ばれたとか。

ヤン・ブリューゲル(父)が、私のイメージにあった花を多く描いた画家で、お金持ちにもてはやされて裕福だった「花のブリューゲル」。その子のヤンも父の仕事を受け継いだんですね。

だいたい父子で同じ名前を名乗ったりするからややこしいですね(笑)

そして、父の作品をひたすら模写して伝統を受け継いだり、一人の画家が自分の個性を追求する今の時代とは感覚が違いますね。

「ブリューゲル」という一つのブランドともいわれているようです。

 

でも、音楽の世界でも、例えばバッハなら一族で50人もの音楽家を輩出していて、弟子と共同作業もしているし、それもバッハブランドなのかもしれません。

 

展示されている作品の中に、ヤン・ブリューゲル二世の「聴覚の寓意」という作品があって、さまざまな楽器がとても丁寧に描き込まれていました。

えっ、この時代にこんなにたくさんの種類の楽器があったの、とちょっとびっくりしましたが、ヤン二世は1601年から1678年に生きた人だそうですから、バロック音楽の時代なんですね。

ショップでこの絵をプリントしたチケットホルダーを売っていたので、記念に買ってきました。

知らない楽器もあって、一つずつ見ているだけでも楽しいです。

ブリューゲルの絵を見て楽しんで、ついでにお花見気分もちょっと味わって、少しだけペライアのリサイタルが聴けなかった心の穴が埋められたかなと思います。