つけ加えて

この前の記事で、ピアノを始める年齢について、あまり急ぎ過ぎる必要はないという趣旨のことを書きましたが、1つつけ加えなければならないことがありました。

 

国際的なピアニストでスタートが決して早くない人は数多いですが、その時点で、恐らくそれまでの育った環境で、既に音楽的素養というものが身についているということです。

 

先日書いたホジャイノフは5歳で教育プログラムを受け、その後モスクワに行って本格的な勉強をスタートしたそうですが、そのときの面接で、どういう音楽が好きかを聞かれ、ピアノに向かってオペラのアリアを1本指で弾いたと、本人が語っています。

つまり、そういう音楽が流れている家庭環境だったんでしょうね。

耳で聞き覚えた曲を弾けたんですから、音感も既にあったんでしょう。

両親は音楽家ではないそうですが。

 

もっと古くは、20世紀前半に活躍した伝説のピアニスト、ギーゼキング(Walter Wilhelm Gieseking 1895~1956)は、16歳で正式な音楽教育を受けたとされていますが、実際は4歳でピアノを弾き始め、6歳のときはシューマンのファンタジーを弾いていたという、すさまじいほどの天才ぶりです。

シューマンのファンタジーって、音大生が卒業試験に弾くくらいのレベルの曲です。

これは次元が違い過ぎる話ですが。

彼は、自分でもう読み書きもできるから学校へは行かないと言って、本当に学校に行かずにひたすら百科事典と楽譜を読みふけっていたそうです。

私たちが一生懸命徒競走をしているときに、こういう天才は上空を高速ジェット機で駆け抜けていくんですね。

 

ピアノのレッスンを始めることを急ぐよりも、それ以前に音楽的環境をつくってあげるのがとても大事、と私は思っています。