グラミー賞

グラミー賞の発表があり、小澤征爾さん指揮するラヴェル「こどもと魔法」のアルバムが、最優秀オペラ録音賞に選ばれましたね。

しかも海外で録音された海外のオーケストラとの共演ではなく、松本市でサイトウ・キネン・オーケストラと地元の音楽家らでの演奏ということで、素晴らしい成果ですね。

 

何度か病に倒れながらも音楽への情熱を燃やし続ける小澤征爾さん。もう80歳というのもびっくりですが、年齢を重ねても情熱が衰えるどころかますます若々しく、驚くばかりです。

 

昔、小澤さんの「ボクの音楽武者修行」という本を読みましたが、あの時代に海外に飛び出して、コンクールで賞をとり、世界の小澤になっていった勇気と情熱と努力、そういうもの全て含めての「才能」なんですね。

 

個人的には、昔、上野の文化会館で、アルゲリッヒをソリストに迎えて新日フィルの指揮をしたときの演奏が忘れられません。ラヴェルの協奏曲とショパンの協奏曲第2番だったと記憶していますが、鳥肌が立つような演奏でした。

三者の化学反応というか、化学燃焼という感じでした。会場には奥様の姿もあって、結婚前は入江美樹さんという名前でモデルや女優としても有名な方でしたから、すらりと美しい立ち姿で周囲の注目も集めていて、そこだけ違う空気をまとっているようでした。

 

余談ですが、それから遡ること数年、小澤さんの最初の奥様だったピアニストの江戸京子さんも、あるコンサート会場でお見かけしたことがあります。偶然、私の前の席に座っていらして、アップにした髪の後れ毛を撫でつけるような仕草をなさったときの手が、意外に小さくて華奢で、ちょっと驚いた記憶があります。もちろん鍛えられた引き締まった手でしたが。

当時、私は自分の手が小さくて指も細いので、ピアノを弾くのには不利だと思っていましたが、高名なピアニストの江戸さんが自分と同じくらいの大きさの手だったことに驚くと同時に、手の条件を弾けない理由にしてはいけないなと深く感じ入って、強く印象に残っています。

 

小澤さんは、江戸さんのお父様で実業家の江戸英雄さんにも助けられて海外に出て活躍するようになったそうですが、お嬢さんと離婚されてからも、江戸さんは生涯、小澤さんとは父子のような関係を続けたといわれています。

江戸英雄さんの度量の大きさと同時に、小澤さん自身もそれだけ人間としても音楽家としても魅力のある方なのだろうなと思います。

 

これから先も健康に留意されて、長く活躍していただきたいですね。

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コメント: 2
  • #1

    かりんとう (金曜日, 19 2月 2016 16:53)

    大変興味深い、ブログでした♪
    一度だけききにいった事あります・・・

  • #2

    takeuchi (金曜日, 19 2月 2016 21:44)

    かりんとうさん
    素晴らしい演奏に出会ったときの感動は、一生の宝物だと思います。
    何十年経っても記憶に残っていて、そのときの感覚がよみがえってきます。