通過点

きょうは明るいニュースが1つ。

小学校低学年のお嬢さんが赤いバイエル(上巻)を、めでたく終了しました。

後から始めた子に軽く追い越されちゃったりしていたんですが、ペースは人それぞれ。

年中さんで始めたころはピアノの前に座らせるまでが一苦労で、テーブルの下にもぐってしまったり、ソファでごろごろしたり、トイレに行ったままなかなか帰ってこなかったり、そうこうしているうちに次のレッスンの人が来てしまったり。

お母さんの言うこともなかなか聞かずに、これでは果たして続くのかどうかと、心配もしました。


正直言って、私が音大を卒業して教室を始めたころは、小さい子も、ある程度緊張感を持ってレッスンに来たので、そういう苦労はなかったんです。

それでも、このお嬢さんのお母さんが、時に困り果てながらも粘り強く続けてきたことには拍手を送りたいと思います。


ピアニストにしたいというならともかく、子供のころの進度は、そんなにやきもきする必要はないと、私は思っています。

音大を卒業したばかりで教え始めたころは、一人一人のお子さんの進み方で一喜一憂したものですが、長い経験の結果、今ではそういうことは大きなことではないと考えています。

小さいころにどんどん上達した子が、ある時期から伸びなかったり、勉強と部活とピアノが完璧にできないからやめる言い出したり、逆に、子供のころのんびりしていた子が、中学・高校のころになって、とても音楽的で個性のあるピアノを奏で始めたり、想定外のことが起きるのがこの仕事の楽しさです。


このお嬢さんも、あるときにこの子だけの花を咲かせるのではないかと、期待を持って見守っています。